今日のまとめ 7月30日
火星歴11日目

ジョン・クラーク

昨日のサマリーで述べたのは分かっているけど、たしかに今日は休日のはずだったが、予定は変更。天気予報によると、今日の天気は大変良いが、明日は下り坂とのこと。ということで、休日を変更し24時間延期した。天気予報は一度だけ当たった。

朝は静かで晴れ渡っている。帯状の太陽の光も時々見えた。今日のEVAチームはアレックスとユースケが宇宙服を着用し、アナスタシアが猟銃を携帯して朝10時に出発した。東方向に向かいジェミニ丘に向かって歩行の可能性を探った。二つ目の目的はポリゴンの3Dスキャニングだったが、時間が無かったため実験ができなかった。

午後はゴミ焼却炉を使って排便とゴミを皆で一緒に燃やす作業を行った。音が聞こえるほど粗末な炉ではないが、熱く燃やし臭いも漂った。でも意外にもものすごく不快ということではなく煙が立ち込める焚火よりずっと良い。

夜になって、天気予報が正しかったようで、風が強くなり、風向きも北になり、気温も急降下しているようだ。雪を降らさるような雲行きだ。とにかくハブは気持ちがいい。

 

ジャーナリストレポート 7月30日
アナスタシア・ステパノワ

宇宙探検家の夢

雨や雪が降ったりやんだり、そして雲と霧の2週間が過ぎ、今日はうれしいことに太陽がお出ましだ。ジョンが笑みを浮かべてコマンダーに笑いながら、「生きてる!」と叫んだ。
アレクサンドルは、今朝ほど、休みの日でも天気が良ければ私たちは無駄にはできない、と表明した。私たちは天気予報が雪であると予想している明日に休日を延期した。アレクサンドル、ユースケ、そして私はホートンクレータのEVAによる地質学的探査を行うよう役割を与えられた。男性は背中の換気システム、ヘルメット等々をチェックし、女性は銃弾を数え、猟銃の銃床に収めた。銃はモスバーグ12口径。今日、私は北極熊監視役、または、模擬的に銃を運ぶので火星ロボットと名付けた。雰囲気や好みによるが、有名なロボットキャラで呼べるかも。ウェル-e、ベンダー、アトム、ロビタ、R2-D2、K-2SO、TARS等々。今日は、映画「スターウォーズ:ローグワン」を真似てK2SOと呼ぶことにしよう。嫌味っぽいけど常にクルーを守るロボット。私は最初に外に出て周囲を点検し、無線で連絡した。「EVAクルーへ、この辺りは問題なし、準備良好!」

ユースケとアレックスは減圧開始し、5分でハブの外に出てきた。私たちは必要装備をくくりつけた。救急処置キットと猟銃をATVの荷台に乗せた。燃料レベルを確認し、出発した。北極の地形を「運転する」と呼ぶには厳しい状況だ。鋭利な岩石を克服し、滑りやすいぬかるみや小川を避け、そして北極熊を常に監視する等、まったく安心できない。クレータの奥まで到達したとき、美しい景色にどっぷり浸かった。ハブから8キロメートルに到達したときに、自分の目が信じられなかった。渓谷の景色は、スターウォーズ・オーグワンに出てくる惑星の景色と全く同じような感じだった。灰色とオレンジ色の大きな丘の横には氷の島があり、下のほうには小さな湖、緑の草や紫と黄色の花々が咲き、名前のわからない小さな動物の骨と歯が転がっている。ATVのエンジンを止め、探査を開始した。私の前を歩く宇宙服姿の二人の宇宙飛行士が巨大な灰色の丘陵のそばで作業をした。私は黒いオートバイのヘルメット(ATV用防護ヘルメット)をかぶり、猟銃を携帯し、危険なエリアを監視した。すべての光景は、私が地球にいるのだと確信するには、あまりにも非現実的であった。

私は、もし遠くの白い点が急に動き出したら熊に対する準備をすることを知っていた。しかし、その白い点が帝国軍兵士(スターショーズにたびたび登場する白い兵士)か、あるいは、敵の惑星に住む地元人かもしれない、などと想像して恐れを感じた。それから、「私がMars160のクルーに選ばれるなんて、なんて幸運な人間なんだろうか。」という圧倒的なフィーリングに私は衝撃を覚えた。結局、私たちは11kmを運転し、ハブに戻った。安全に、そして健全にクルーはハブに帰還した。

ロボットK-2SOは、今日は大変幸せだった。脅威もなく、地質学的探査も目的を達成しミッションは成功裏に終了した。私が気持ちがいい基地の中に戻ると、猟銃の弾丸を取り出し、安全な場所に戻した。私は微笑みながら考えた。今日一日のクレータの探査は、一か月待ち望んで手に入れたツナ缶と同じ価値があると思った。今日一日の宇宙探査で感じた本当のフィーリングは、これからもずっと私の心の中に居続けることだろう。
今日の一日は、ただの始まりに過ぎない!


クレータ底のEVA


ユースケとアレックス地質学探査


霧の火星


霧の火星


フレンチクレープを料理するアンドレア


霧と晴天の比較


地質学探査


ポールのケーキ