9月26日
ミッション3日目のMDRSでは、これからおこなう実験の準備が整いつつある。作業をしながらどこでも食べ、そして睡眠をとりながらの時間を過ごす、こんな生活は先駆者ならではの生活を体験する喜びでもある。塗装をしたり、古い器具を交換し、トンネルの骨組みに防水シートをかぶせ、あるいは考えもしなかった必要アイテムを地元のお店で購入したり、楽しいことばかり。
クルーメンバーはお互いにより深く知り合い、予期しなかった訪問者が現れたり、すべての模擬体験活動が開始したときの行動計画を作ったり、いろいろ忙しい。
これらの活動は将来の火星居住者にとって重要な問題を提起してくれる。MDRSは建設されたから15年を経ているので、補修も必要である。火星では補修作業はどのように行われるべきなのだろうか。老朽化した設備や構造材は破棄されるべきなのだろうか、ただたんに、基地の外に放棄されるのだろうか。再利用されるべき? 数千の異なる材料で作られた数百の部品をリサイクルする方法は?
これらの問題は地上の極地や山岳地帯や砂漠といった僻地でも遭遇する問題である。同時に火星でも遭遇する課題でもある。おそらくこのような問題以外で予想外の問題にも遭遇するだろう。予想外の問題に遭遇したことで、打ち上げ時間、通信、積載重量、移動距離といったことでストレスを感じるだろう。同時に、地上でも適応力、順応性がいかに重要であるかということを学ぶだろう。
エンジニアのアレクサンドラとミシェルはインターネット問題の解決に努力したり、互換性のないガス器具問題に取り組んでいる。 ジャーナリストのアナスタシアは建築家のユースケと作業をしており、トンネルに防水シートをかぶせている。このトンネルは基地の施設同士をつないている。
芸術家のアナリアは、多くの訪問者にわかるような標識を立てるために穴を掘り続けている。地質学者のジョンは、壁塗り作業をしている。研究責任者のシャノンはMDRSに長年かかわってきている経験と知識を基に私たちにアドバイスをしてくれる。明日のプログラムは何? 同じことの繰り返し?でも最後のクルーメンバーであるインドからくるアヌシュリーが無事合流することを期待しよう。彼女は生物学者である。